cockpit                  

ごく当たり前の慰めと
よくある程度の歓迎が
あればいいと願うことが
けっして叶わないのだとしても

いつも白い出窓の小部屋
膝を抱えることが出来るなら
十分幸せなんだって
思えるように出来ていた

そういう人生だったのだから
そういう人生ではなかったのだから

不自由のない手足の先
恵まれて生きる自覚とか
付け入られると知ってさえ
だからこそ己の胸に誓えるのなら

天井の円い照明の先に広がる楽園に
大勢の泣き笑い抱き合うわたしが居て

わたしは独りわたしのまま
戦いのために泣くことは
許されるような気がしていた

そういう人生だったのだから
そういう人生ではなかったのだから


Flame Lance                  

陣は紅炎
あざ名は焔武

円の台
光放ち
駆けぬく天馬
神おろす霊峰

さやかに秘そ
畏みて符を奉りたまえ

呪は祝
縁に珠
右にゆずりは
左にみつるぎ

春秋かさねたたみ
扇ひらき舞え烈夏烈冬

Real days                  

もはや観測範囲は広がった
生きやすい場所を求める自由
行きたい場所に行く自由

今見えずとも見えるとも他をあたってみるがよい
いつもその目を疑うがよい
人はしばしば間違える

若人は目からウロコの落ちる鱗を次々更新し続ける
鵜呑みにはしない
心配はない

しかし老人
どこかにあると思っているのか
持って生まれた特徴が?正義と悪の戦いが?

ありはしないのだ
さっぱりどこにも
そんな便利な答は無い

在るというのは甘美な夢だが所詮にわかな幻想に過ぎぬ
在ると信じて築いた城はやがてもろとも砂へ帰す

むろん偏る姿はあるだろう
それをして日々は彩らるだろう
便宜それらを答とかかげても事実一向構わない

我々と我々の住むこの渡世
とどまらず常に揺れ動く
もし真実があるのならその矛盾というありのままがほんとう

正しいものはないからこそ選択し続ける覚悟が要る
ひとつひとつは希釈され混合され再び濃くなり
やがて世界はその影を見せるだろう

Stand up right now                 

また昼下がりイライラしてる
学習しないお為ごかしに頭痛がしたって仕方ない
サイコーもないサイテーもない
その当たり前が難しい

右往左往のトラブル続き
ヒーローなんてどこにもいない
起承転結のストーリィなんてない
ねぇでもそれがいいんじゃない

驚くような発明はない
呆れるほどにデイバイデイ
みんながみんな悩んでる
それでもまだまだ悪くないじゃない

遠く太古の昔から
銀河の命果てるまで
ただキラキラと儚くて
咲いて散っては塵となる

願いをかなえる法はシンプル
カミサマなんかに誓うより
動いた後に付いてくる
要はカンタンそれだけのことでしょ

確かに強くないかもね
誰かじゃなくて誰もがみんな
でも進んでいく
それだけだから弱くもないでしょ

スープを飲んで眠りに就いて
朝目覚めたら同じ太陽
ビームを取って構えれば
ほら世界の的は撃たれるばかり

celebrated                  

たとえば
厭なことばかり浮かんでは消え
前向きにしようとなんて試すことが
さらに気分を蝕ばんでいく黄昏に

ふいに差し込む光のように
君の言葉を思い出す
わたしの便りを喜んで返事をくれた君の声

きっと君にとって何気ない
優しくて真っ直ぐで飾らないメッセージ
ほんの短いあたたかい言祝ぎ

たったそれだけで
心の霧は取り去られ
わたしはわたしを取り戻した

わたしたちは美しいものを美しく歌わねばならない
醜いものを美しいかのように示してはいけない
いやしくも言の葉を操るのなら

友よ
君がそうしてくれたように
わたしも君に届けることができるだろうか
真の愛を

わたしは今日もすばらしいものに出会ったら褒めるだろう
恥ずかしがらず惜しみなく盛大に
一瞬の機を逃さぬように

an Oath                  

運命の人はどこか遠くに居るんじゃなくて
探せば見つかるわけでもなくて
隣にいる大切な人を
運命の人にできるかどうかってこと

できるかどうかって
ひとえに自分の決意次第
繋いだ手を離してしまったら
それは他の誰のせいにもできないこと

言い訳は忘れて
自分の選択を信じて
選ばなかった道はいつでも少し魅惑的だけど
そんなの絶対いいもんじゃない

きっと選ばなくても生きられた
失って初めて気付くなんて陳腐な話って
人はどうせ慣れてしまうからありもしないけど
それこそが身の毛もよだつ現実で

思い出してみて
どうして笑ったのか
どうして嬉しかったか
どうして幸せだって感じたのか

自分自身の人生だから
運命の舞台に立って花束を投げて
幕が下りるまで歌い続けて踊り続けて
一緒に……

Winged                    

そこにいるのは幼い私
抱きしめるのはそのときに見た未来の私
誰もが皆ひとりきり
それぞれの崖の上に立っている

風に吹かれて両足がすくむ
振りかえれば青々と茂る草原
ここまでは歩いてきた
しかし引き返すなどありえない

あの頃に見た私は今で
今もまた未来の私が付いている
傷ついて肩を震わせ泣いている私もいつも共にある

怖い?知らない?難しい?

一体全体それがどうした!

空の航路は交わらず
何も無ければ永遠にゼロ
私たちはすでにひとつを足した

そこにいるのは幼い私
抱きしめるのはそのときに見た未来の私
誰もが皆ひとりきり
それぞれの崖の上から飛び立った

Go for it!                    

せーので笑っちゃって
まだまだ大丈夫だって
強気に出たって、いいんじゃない?

君の声に救われてる
僕は苦しくても顔を上げられる
もしかして、まだ知らないんじゃない?

君はぜんぜん何にも諦める必要ないこととか
泣くのだってひとりじゃ無理だけど
みんな居るから僕らヨユーで泣けることとか

迷いなんかぶっ飛ばして
僕ら同じ場所で生きてる
別々だって、そんなの関係ないんじゃない?

どんな青っぽい常套句にも
ノリノリで今、実感できる気がするよ
こういう気持ち、幸せって呼ぶんじゃない?

Fated                    

私よ為すべきことを為せ
為すべきことを知りかつ為す者を強者というのだ
強いということのたった一つの意味だ

為すべきところを知らぬ者は千年経っても奴隷のままだ
為せるというのに為さぬ者は未だ息をしながら死んでいるのだ

私より優れた者がいるだろう
私より優れない者もいるだろう
それが一体何になる?

私の主人は私だけだ
いついかなるときであっても
他から命じられることはなく他に命じることもない

為すべきことを妨げるならどんなものとも戦おう
どれだけ狡猾なものだろうが決して怯むことはない
どれだけ怠惰なものだろうが不当な手心を加えるつもりは一切ない

私は私の名において私のために私に命じる
「戦えそして勝て」

Muse                    

砂漠のミュゼは風の踊り子
昔オアシスで拾われました
養親の旅人は先の戦で亡くなりました

ミュゼは踊り子だったので
どちらの兵も敵ではない
払いが良ければお客さん

うまい肴に酒を飲み
華やかで見事な踊りを見たものは
むしろ憂いて泣きました

血濡れの鎧はあまりにも重苦しくてたまらない
暖かな街に帰りつき早く穏やかに眠りたい
兵士は願うものでした

砂漠の一座は曲者ぞろい
座長がこれまた傑物で
芸達者の皆々を見事にまとめておりました

座長はミュゼのお師匠で
旅人の死に誰より堪えておりました
昔ミュゼを預けた彼は座長にとっては親友でした

優しかった養親は懐かしくこそ思うけれど
ミュゼは師匠のが心配でした
砂漠で生きていくのなら生きることに集中しないといけません

荷物になってはいけません
荷物を持ってもいけません
それが砂漠の動かぬ掟

一座を率いる魔術師が死者に囚われるなどもってのほか
ミュゼは師匠に刃を向ける
剣舞を舞ったその足で

喉にぴたりとあてた剣
舞で鍛えた右腕の
光は兵より恐ろしい

師匠はミュゼの激励を知りながら
もう立ち上がりませんでした
穏やかにただ微笑んで受け入れるように頷いて

ミュゼは一度だけ泣きました
そうと師匠が望むなら
引導を渡すのは己の仕事

その夕 日没から始め
しきたり通りの弔いを
偉大だった魔術師のため皆で盛大にやりました

次の市場でおなじみの軍を相手に幕を上げる
ミュゼの踊りは今夜こそ
穏やかな夢を誘うもの

死んだ旅人と魔術師の
眠りは静かに永遠に
魂は二度と巡りません

PiPi                    

可哀そうなピエロのピッピ
くじいた足を惨めにも
引きずるように踊りだす

泣きたいのにも気づけない
痛いことさえ知らないで
曲に合わせてクルクルリ

座長は老いた猛獣使い
ピエロの怪我を知っている
「およしよピッピ休みなさい」

だけどピッピは止まらない
猛獣使いもたいして言わぬ
こっそり半ば諦めて

ピエロの稼ぎは良くはない
このごろショーも流行っちゃいない
ブランコ乗りの星たちは次のテントで去るだろう

昔はピッピも精悍で
ジャグルもカードもお手の物
横で見ていたマジシャンも拍手喝采ほめるほど

だけどピッピは動けない
それらは既に過去のこと
玉乗りとダンス繰り返すピエロに芸の用はない

腹話術師は人形に夢物語を言わせない
最後の幕が上がるまで
あともう少しあと少し

ここで一花咲かすなら哀れピエロにも後がある
残念なことに末路にも
まだほど遠く届かない

NO NO                    

今日の思いは一瞬だけ
まあ、明日はまだ
続いているかもしれないけど
いつまでも憶えてはいられないのね

それでも、これから
好きなものは、好きなまま 言い訳せずに
嫌いなものも、逃げないで
ハッキリ嫌いと言いたいわ
理屈でがっちり後ろをガード?
そんなのって、まっぴら御免

間違うのなんて
とっくに知ってる
乱暴だって、居直ってなんかないつもり
むしろ本気よ、これまでのいつよりも

そうして、いつも、いつまでも
死ぬまで
生まれ変わって生きたいの

Selected                    

宇宙の話を聞きました
終わりを臨んで怖がりました
始まりも始まりで恐ろしかった

お化けの話も嫌いです
人が一番怖いだなんて
きれいにまとめてどうするつもり

いつから過去の話になって
ふざけた口調になったのかしら
何が変わったわけでもないのに

本当は憶えているの
あの日震えた恐ろしさ
夢を抱いていたことも

のどがかれるまで大きな声で歌って
ただそれだけが実現したら
たったひとつそれだけが...


怖いものを忘れました
わたしは鈍くなったの
弱くなったの

いいえ
失う方を取ったの
あの日こちらを選んだから

For my Dear          

そこに居たんだね
あなたはずっと知ってた?

探すことも思いつかず
居てくれることも想像せずに
長い間気づかなかったけれど

怖れながらあの日一歩踏み出した
わたしの背を押してくれたぬくもりが
今もここにあるから

たとえあなたがこれから
いつか遠く離れて見えなくなっても
ずっと憶えてる

もう二度と
けっして忘れることがないように
わたしは笑ってるよ

きっとまた倒れて
泣くこともあるかもしれないけれど
何度でも立ち上がるよ

わたしがまだがんばれることは
あなたがくれたやさしさの証だから

一日一首

日記的な五七五七七 2012年10月から2013年10月まで。

2013/10/31
秋深し上野の町の朝早く隣同士で強く握る手
2013/10/30
久々に揃い上下の正装をどんな服でも直ぐのまなざしを
2013/10/29
悩みつつ薄いページを積みかさね何時しか糧となりし書物よ
2013/10/28
書き物にまめな主人の新しき名の印鑑を待つ紙片かな
2013/10/27
もしそれが運命ならば己の手伸ばし自ら幸とするもの
2013/10/26
みかけより守るべき誠の芯を忘るる勿れとわの別れまで
2013/10/25
鳴き声をガオオと真似てすごんでも獅子にはならでヨシヨシされる
2013/10/24
雨音にはしゃぐかのように歩いてくレインコートを着たる洋犬
2013/10/23
城となり石垣となり堀となる甲斐の武将の教えなるかな
2013/10/22
花飾り待ちて伸びたる黒髪の先をそろえた童女とび跳ねる
2013/10/21
店頭の真っ赤なりんご山盛りに今年も冬の戸の音を聞く
2013/10/20
しあわせの形変えたるお裾分け語り終わらぬ枕並べる
2013/10/19
日々遠くそれぞれに見る海の先伸ばした指は繋がっている
2013/10/18
堂々と道を進みて胸張れば恐るることの見る影も無し
2013/10/17
歩くにはさほど向かないパンプスもぎゅっと履き締めしっかと歩く
2013/10/16
スポーツと縁遠きわれも観念し腕の運動すなる秋かな
2013/10/15
遠い日の嵐再び襲いきて往なし宥める島国の民
2013/10/14
山がちの東の果ての古里の住める苦労も喜びも知らむ
2013/10/13
プラプラと白い自転車乗りつけて気ままに眺める文房具店
2013/10/12
気だるさも嬉しく思うハレの日の絵図を臨んでカレンダめくる
2013/10/11
キーボード叩く指先軽やかに今は昔の記憶を紡ぐ
2013/10/10
安売りのチラシ見くらべ算盤をはじくも楽し日々の食卓
2013/10/09
近ごろは秋にもならで風暑く急に冷え込み冬を迎える
2013/10/08
替えた詩が耳に残れるわらべ唄らしさ演ずる子らの息抜き
2013/10/07
カーソルの進む先からあの頃の未来をしかと臨む世界よ
2013/10/06
ビュンと跳ねハンドボールに飛びついた子犬のように弾ける笑みかな
2013/10/05
まだ吾はコーヒーの苦さ知らねども君のカップの香り楽しむ
2013/10/04
1cmハサミ入れたる前髪のゆれる額に面影を見ゆ
2013/10/03
大小の枯葉ゆかいに舞い上がるわれには見えぬ小人踊りて
2013/10/02
雨続き暗い写真の濃い色が山のふもとの影思わせる
2013/10/01
はじまりに逸る心の引き締まる凛と黒髪を束ねた少女
2013/09/30
筆まめの心懐かしき友ありてポスト華やぐ封書手にとる
2013/09/29
よく晴れた青い一日染め直すビルの谷間の紫の夕陽
2013/09/28
蒸し暑さに夜なか目覚めた手の先にいとし背を見て寝息が戻る
2013/09/27
秋の陽のつるべ落としの夕ぐれに地方訛りの土工帰りぬ
2013/09/26
北風に肩を寄せ合う灰色の壁に白猫するり消えゆく
2013/09/25
秋雨に濡れる落ち葉のつきづきし建て替えに遭う下町のビル
2013/09/24
彼岸過ぎいまだ汗ばむ枯葉色スカートひらり風を抱きこむ
2013/09/23
蛍光のペンの黄色が伸びていく深い記憶の波のまにまに
2013/09/22
盤面に飽くこともなきアマ将棋きざむ眉間のしわは濃くなり
2013/09/21
ガラス張り坂を行き交うとりどりの色にあふれる街に驚く
2013/09/20
朝はもう足の先から肌寒い広いタオルの寝床にぬくむ
2013/09/19
古くより愛でる習いの中秋の名月の名に恥じぬ輝き
2013/09/18
寝足りてもさらに眠たくなるほどに心地よい風吹きぬける窓
2013/09/17
青空のはるか高さに実感す秋のはじめの台風一過
2013/09/16
ほくほくとサクサクまじる食感のコロッケふたつずつ美味なるかな
2013/09/15
嵐の日快適な部屋に立てこもり打ち付く雨と風を眺むる
2013/09/14
往年の猛き心の面影にいとすべらかな刃ひらめく
2013/09/13
月影に涼む寝顔のうつくしき夢と思へど覚めぬ夢かな
2013/09/12
波に立て進むべき船首なれば凪いだ港に何ぞ用あらむ
2013/09/11
安らいで船を漕げれば進むべし時化て荒れればそれも糧なり
2013/09/10
残暑にも沈む夕日は早くなり帰路の暗さにライト燈るる
2013/09/09
君の手になじむ私のブラウスに燃ゆる静かな恋の紅色
2013/09/08
五輪とは心踊らすものなりや子らの遊戯のまねる仕草に
2013/09/07
何気なく見ゆに任す我でさえ瞠り驚く映画フィルムよ
2013/09/06
曇天を分ける日差しは明るくも淡くなりたる涼しき午後かな
2013/09/05
自ずから出ぬ意味ゆえ探るべし揺れる霧中のあかり浮かびて
2013/09/04
はるかなる雲の果て見る目を細む悔いる事こそなきと思えば
2013/09/03
逃げ腰の心捨て去るその先に初に生じる真の安気よ
2013/09/02
ごく薄く端は黄ばんだ紙の束に載る文こそ純金の価値
2013/09/01
いつ来ても縁日の様に賑々しいつも通りの暑いアメ横
2013/08/31
本の杜ならぶ広場のそこかしこ昼を楽しむ家族ありけり
2013/08/30
台風の天気予報のはなばなし大粒の雨の幻を見る
2013/08/29
涼しさに戸惑うような足隠し長いスカートひらり揺れてく
2013/08/28
移りゆく日々を重ねて変わりゆく同じ手からの豊かな筆致
2013/08/27
西側に急に傾くオレンジの薄い光の帯の雲かな
2013/08/26
この胸に刺さる小さな破片たち消えることなく我を彩る
2013/08/25
そのままに鏡よ鏡映し出せ揺れるまなじり濡れる手のひら
2013/08/24
川沿いの歴史思わす街並みの若いビストロ盛り賑わう
2013/08/23
散らばった伊呂波かるたの札の様に時機に合う手を待ちて並びぬ
2013/08/22
味噌汁と焼いた塩鯖ほくほくと素朴ながらも旨い夜かな
2013/08/21
繰り返す様に見えしも捲りつつ色はさやかに変わりぬるかな
2013/08/20
色濃くもわずかながらに影がのび蝉の声にも秋が聞こえる
2013/08/19
休み明け始まりは少し忙しくいつも通りの悪くない日々
2013/08/18
相まみゆ長い月日を共にした今も変わらぬ友の笑顔よ
2013/08/17
ふわふわと疲れたまった手足伸べまぶたはたたく夜の留守番
2013/08/16
つらつらと東京目指す渋滞と相性の良い古いパズルゲーム
2013/08/15
ひとときの人の数増す田舎町犬も小鳥も驚いた顔
2013/08/14
テレビから聞こえる野球応援としゅうしゅう溶ける麦茶の氷
2013/08/13
フライパン底に並んだ古い町山に囲まれ夏に蒸される
2013/08/12
冷凍の生姜をすって蜂蜜と熱々のお湯を混ぜてとろとろ
2013/08/11
喧騒とゲーム機の出す電子音デジタルな夢きらきら光る
2013/08/10
黒だけでカラフルなドラマ立ち昇る漫画日和の暑い夏の日
2013/08/09
実実しき日々をまとめる金曜日疲れた肩に色香漂う
2013/08/08
行く先も行く道のりも消える水もとの望みの姿知らずば
2013/08/07
数百の真っ白く光る封筒に業務ながらも心折り込む
2013/08/06
色あせたカバーめくる風の向こう今も広がる未知の時めき
2013/08/05
先々の夢も不安もあるけれどノート広げて今日を埋めてく
2013/08/04
どんな日もあなたとだから楽しくて過ぎていくのに長く感じる
2013/08/03
遠方のスパイスカレー聞きつけて辿り着いたら涼やかなカフェ
2013/08/02
何気ない楽しみがあり目覚めたらわたしはそれを幸せと云う
2013/08/01
建前のふりもふりとて貫けば唯に一つの真なりけり
2013/07/31
夏休み葉月迎えるもどかしさ思い出してはくすりと笑う
2013/07/30
キラキラと冷えて光るる砂糖水ためらいながら喉を潤す
2013/07/29
名に負うた意味を知らずに過ぎゆけば只に広がる荒野の景色
2013/07/28
公園の夏の短い木の影にぽぽんと弾むカラフルな球
2013/07/27
大輪の派手に咲き散る花火よりスペクタクルな稲妻の群れ
2013/07/26
唄われる忘れじの歌通い路の慣れた景色が音符に浮かぶ
2013/07/25
古ぼけたピエロの踊りくるくるり調子外れのリズム転がる
2013/07/24
まだ遠くはるかに聞こゆ君の声こたえて唄うともだちの歌
2013/07/23
あなどれぬ蒸し暑くする通り雨べとつく肌に夏がはりつく
2013/07/22
曇り空やけに明るいビルの壁ゆううつそうな昼の雑踏
2013/07/21
少しずつ装い変える交差点同じ場所へと続く坂道
2013/07/20
ふんわりと白く流れるクリームと甘く香るる果物の粒
2013/07/19
繰り返す時の磨いた王道の奇抜な花の元に来る幹
2013/07/18
揺らいでも影に隠れた日陰より陽炎昇る昼に飛び出せ
2013/07/17
古くより終わりよければすべてよしと言わるるところ信じる5分
2013/07/16
雨を越え暑さやわらぐ初夏の日に雲間に覗く濃く青い空
2013/07/15
自転車の並ぶ短い影を踏むアスファルトより熱い情熱
2013/07/14
灼熱の激しい日差しかき氷嘘より嘘のような夏の絵
2013/07/13
昼下がりタオルケットに包まってエアコン弱く長めの昼寝
2013/07/12
熱帯夜見ても見果てぬ夢を見るプロペラの風ゆらぐ向こうに
2013/07/11
夕闇で優しく抱いてくちづけを何も要らない他のものなど
2013/07/10
ひらひらと熱気かわして舞うように街路樹の上とまるアゲハ蝶
2013/07/09
暑さを避け木綿の薄いカーテンをひいて透き通る夏の日差しかな
2013/07/08
梅雨明けに張り切るような夏らしさ蒸した猛暑に雷鳴響く
2013/07/07
ここまでに失ったものも得たものもただひたすらに一心にそのまま
2013/07/06
閉め切った部屋に少しの重い風薄い辞書紙ペラリとめくれる
2013/07/05
溢れ出る文字の向こうに浮かぶものあるいは己に浮かばせるもの
2013/07/04
少しだけ荷物を持ってお見送り長旅のはしJR駅まで
2013/07/03
懐かしき香りのついた文房具いつ見てもなお心楽しき
2013/07/02
負けながら疵を治していきながら何度でも立ちまた進んでく
2013/07/01
心配の量をノートに置き換えて文字で埋ずめて黒くしていく
2013/07/01
できぬことはできぬとしてもできることをせねば始まるものも無い
2013/06/30
試験まで揺れて不安になりながらペンを転がす朝と夜の机
2013/06/29
お揃いのどんぶりふたつ携えて図書館帰り道具街から
2013/06/28
歌うことさえ忘れて去りゆきて後に残るる笑みがあるかは
2013/06/27
涙せず顔も変えずに動くこと胸に悲しみ辛くあるほど
2013/06/26
綺麗事も最期に死すまで貫けば唯に一つの真とならむ
2013/06/25
陳腐でも使い古され汚れても唱え続ける祝詞もあらむ
2013/06/25
声もなくひとり戦うなら今も静かに痛む傷も薄れる
2013/06/24
蒸し暑さに首をかきあげ髪を結う汗のふきだす梅雨の晴れ間よ
2013/06/23
友のため叶うのならば払うだろう我濡らすのみ冷えた露でも
2013/06/22
目立たない場所も磨いてピカピカに箒で掃いて水ぶき空ぶき
2013/06/21
いつの日も上がり下がってまた上がるホップしながら階段登る
2013/06/20
うち濡れて透明なカサ見上げてはカラフルな夢はじく水玉
2013/06/19
いつもそう胸焼けるように痛んでも支える手まだ背に感じてる
2013/06/18
薄れゆく記憶かすんで見えずともここに残るは我が残したもの
2013/06/17
人の目は気になるものを追いかける気にしなければ影も見えない
2013/06/16
扇風機そよそよ風が気持ちよい眠るでもなくころころごろ寝
2013/06/15
倒れても前へ前へと強くなれただそれだけが越えるすべなら
2013/06/14
雨雲の去り水たまり光る午後じわじわ蒸して夏らしくなる
2013/06/13
エアコンに涼む部屋から遠く見る濡れて色濃い店舗のパネル
2013/06/12
お茶の葉にカンカン煮えた湯を注ぎ耐熱の瓶ふわっと曇る
2013/06/11
網戸ごし細く落つるる雨粒に濡れるテラスの冷えた鉄柵
2013/06/10
夢よりも夢と見まごう朱い雲かつて川面に映りしと同じ
2013/06/09
実が実り酒と散りゆく花の頃芽吹く青葉に憂う影なし
2013/06/08
算盤をしゃんと弾けば安堵する清さとはなお暗き心よ
2013/06/07
濁っても曇りかすんで滲んでも迷わず進め光る彼方へ
2013/06/06
振り返りそこで良しとぞ思えしが唯に一つの答えなりけり
2013/06/05
天秤にゆれるたらいの水面の金魚ひらひら夏の面影
2013/06/04
このままで眠るのはもうお仕舞いに月を見上げて日を思うなど
2013/06/03
この先を選べるように選んだか安くはなくも豊かな方へ
2013/06/02
笛太鼓小さな町の夏祭り神を捨てても人は華やぐ
2013/06/01
幼子の胸の内ではゆらめいて延びる時間の不安さざめく
2013/05/31
遠くても我々はまだ倒れない一緒ならまだ先に進める
2013/05/30
高く飛ぶ迷いの金貨きらきらと夢幻の霧の湖畔よ
2013/05/29
ひたすらに手を動かして淡々と目を留めてまた粛々と編む
2013/05/28
夏の舞夜と満月にたてまつる紅い蝶々ひらひらと飛ぶ
2013/05/27
懐かしき若かりし恋を思わせる甘い吐息ぞ胸に残れる
2013/05/26
はるかなる先を見ながら静かなる一歩一歩の足の運びよ
2013/05/25
疲れても君と笑えば吹いて飛ぶ何でもない日続く幸せ
2013/05/24
良き土を固め石垣積み上げよつまらぬ焦り砂が崩れる
2013/05/23
我が恥を省りみたれば羞なれど泣きて落とした憑きこそあらめ
2013/05/22
まだ細き急な滝川さらさらにやがて海原に辿り着くべし
2013/05/21
さざなみも聞いてそのまま過ぎ行けば見えて水面を揺らすものなし
2013/05/20
激しくも洗いそそぐような夕立に遠い雷どしりと響く
2013/05/19
雲厚く山のもとには日が遠く焦がれ燃ゆるる赤い夕暮れ
2013/05/18
挑む身のさばきの未熟たればこそ日々の基本の重きことかな
2013/05/17
両肩のプレッシャー飛ばす武者震いおのれ次第の敵の姿よ
2013/05/16
雷雨にて分かつ道筋あざやかに帰しこの方の別れはるかに
2013/05/15
昼下がり夏の匂いの秋葉原クーラーの風もれて混ざるる
2013/05/14
あきれ果て怒り震える面汚し改めし我が覚悟忘れじ
2013/05/13
まだ青き夢のかけらの帳面にたどたどしくも香る文のて
2013/05/12
キラキラと日差し照りつくタイフェスタ匂い染みこむ旗がはためく
2013/05/11
降りこめて外に出るには暗くとも部屋の明るく休みくつろぐ
2013/05/10
雨を待つ広々とした土の上ゆらゆら揺れる温い水面よ
2013/05/09
カーテンに揺れる朝日を照らし出す書斎の机ルーペがひとつ
2013/05/08
うるわしく青く光りて呼ぶ岬応えねば過ぎ影ぞ残れる
2013/05/07
花の道めぐりめぐりてまた先へ止まることなく急ぐことなく
2013/05/06
薄暗く色香たゆたう夕暮れに夕立のような雨の降りつつ
2013/05/05
鯉のぼり出店賑わう真夏日につつじ花咲き芝生輝く
2013/05/04
うす雲の向こうに浮かぶ田舎町オレンジ色の大皿パスタ
2013/05/03
どんな日も優しく笑んで佇んで迎えてくれる本の森かな
2013/05/02
窓際にときおり強く吹く風を温めてそそぐ春の太陽
2013/05/01
もしそれを運命と呼ぶのなら進み自ら賽を投げよう
2013/04/30
流るるを止めることなどできようか受けて制して越えるものなり
2013/04/29
腰掛けた椅子の背からへばりつき休日の午後ゆるりくつろぐ
2013/04/28
君の手はわたしのよりも大きな手わたしの髪をくしゃくしゃ撫でる
2013/04/27
慣れた街連れ立つ日また懐かしく新しき夢いつも生まれる
2013/04/26
阻む壁まだぶつかれるこの腕にわたし自身が支えられてる
2013/04/25
その傷は挑んだ証 無傷より治し再び向う強さへ
2013/04/24
歌われる憂い混じりのレイニィデイ暗い夜空に心静まる
2013/04/23
同じだけ長い時間も見違える夜に優れる朝の優雅さ
2013/04/22
チョッキ着てハンドル握りペダルこぎ愛車駆けてく春の早朝
2013/04/21
敵を知り震えることができたなら剣を磨いて奮い立つとき
2013/04/20
ひとりきり贅沢なこと知らざれば召使にも容易くならむ
2013/04/19
数えては重み増してくカレンダー過ぎし此方も来る彼方も
2013/04/18
わたしにはわたし自身のためにしかできないことがわたしの力
2013/04/17
「がんばれ」も「諦めるな」も普通でもわたしの背中励ますエール
2013/04/16
かすかには騒ぐ小さな胸のうち所与のものより選ぶ勇気を
2013/04/15
早起きて桃色ベーコン目玉焼きご飯ほかほか味噌汁飲んで
2013/04/14
少しだけ踏ん張ってまだその先へ未来はわたしが行くの待ってる
2013/04/13
指先のひんやり冷える春先の手をつないだら一緒にいこう
2013/04/12
僕たちが歌う新譜のメロディは情景ゆたかリズムが弾む
2013/04/11
フロア中ずらりと並ぶ書棚には宝石のうず光あふれる
2013/04/10
新しきことはいつも好ましく新しきものはいずれにも見ゆ
2013/04/09
ほそくともとぎれてもまた紡ぎつつ綺羅の薄絹あでやかならむ
2013/04/08
遥かな目静かな耳と伸ばした手繋ぐ未来は向こう側へと
2013/04/07
独創の跡をなぞりし恍惚の蘇る日の空を眺める
2013/04/06
変わりしは今再び見るわたしの目光る空気の同じ部屋なり
2013/04/05
やわらかな日差し葉桜きらきらと風は流れて晩春のころ
2013/04/04
雲光る赤むらさきの夕焼けの禍々しくも美しきかな
2013/04/03
濡れそぼる髪をしぼって水はらう春の嵐に足どり弾む
2013/04/02
春雨に翳る道々行きすがら晴れる心の清々しさよ
2013/04/01
それぞれに出会い別れる新年度おしきせの春踊るもをかし
2013/03/31
この世には不思議なものはなにもない如何に広がり深かれど
2013/03/30
春先のかすみたなびく山際の今日はさらさら白く清らか
2013/03/29
過ぎ去りし時を思いて笑いつつ常の仕事にさらに励める
2013/03/28
そぞろ歩く見慣れたはずの大通り友と連れだち心浮きたつ
2013/03/27
咲きほこる子らの笑顔の礎になりてこそ過ぎる大人の矜持もあらめ
2013/03/26
この道はいつか来た道いつからか自分で選ぶ曲がり角
2013/03/25
小雨降りしっとり食品売り場へと心うきうき晴れ模様
2013/03/24
携帯のゲームで遊ぶ君の目は愛しく笑みをこぼさせる
2013/03/23
新しい時を感じる古い部屋日々に強まる日差しあり
2013/03/22
「楽しみね」「楽しかったね」さんざめく笑い声だけあればしあわせ
2013/03/21
闇の中ほのかに燃えるろうそくの赤みゆれては輝きを増す
2013/03/20
春雨をショールでよける帰り道さめぬ夢から水滴はらう
2013/03/19
早すぎる夏日にかげる蜃気楼 夕はさやかに春を呼び帰す
2013/03/18
大通り遠目にはえる桜色もはや爛漫うたがいもなし
2013/03/17
温かいコーヒーひとつお茶ひとつ薄切りハムとチーズのサンド
2013/03/16
前を見て進め進めよ勇気もて鏡の裏には泣き虫オバケ
2013/03/15
一枚の違い感じる肌寒さ春の気まぐれ天気にクシャミ
2013/03/14
お祈りのうさんくささに笑えれば神の御身も喜ばれよう
2013/03/13
まだまだ止まっていられない傷つくよりも怖いことがあるんだ
2013/03/12
あいまいな音も香りもそれゆえに鮮やかなりし記憶の姿
2013/03/11
あらためて誓い立てる日 あらためねばならぬくらいには遠くなった日
2013/03/10
この部屋は前に来た部屋床の間の飾りが記憶つつきだす
2013/03/09
届けたい友への便り心には今でも響くはじまりの歌
2013/03/08
晴れた空 悔いや嘆きは過去のもの 風は未来の君に吹いてる
2013/03/07
選ぶためいくら泣いても悩んでも選ばないでは進むことなし
2013/03/06
解答は宇宙が用意したパズル幾千の星突き抜ける空
2013/03/05
陽に光り水も空気もぬるみつつ影の濃くなる春の階段
2013/03/04
花びらの舞う青空の幻にまだ見ぬ桜浮かび華やぐ
2013/03/03
長葱と煮卵のせた文明の湯気たち昇るラーメン二丁
2013/03/02
あしひきのなこうの山を越えて行く峠の影を君も見るべし
2013/03/01
くだらない夢まぼろしと知りながら日がなうとうと眠りたい
2013/02/28
一雨に寒さ隠れていく街に春の衣を一枚羽織る
2013/02/27
荒れた海けだし轟き狂おうと底は再び静謐ならむ
2013/02/26
果てを越え行くは叶わぬかたはれに添いて月日を描き彩る
2013/02/25
気の晴れぬ日もそれなりと思ゆるも和えてなかなか面白きかな
2013/02/24
せきとめて澱みうず巻く日もあれど滝の流れに水はあふるる
2013/02/23
あいてなおあかぬものこそ求めけれ肌にひたりと纏いはなれず
2013/02/22
夜空にも似つる暗さと星模様そらを駆けるは私の夢
2013/02/21
微風にも震う小枝は手折るべき秋の実りが本懐ならば
2013/02/20
自転車で切る風はまだ冷え冷えとしつつ日差しは暖かきかな
2013/02/19
雲厚く昭和歌謡に歌われるなごり雪とも思えぬ寒さ
2013/02/18
まだゆるい煮たまご箸で碗にのせ湯気たつ飯に黄身がこぼれる
2013/02/17
障子透き西日差し込む床の間の埃つもりし熊の置物
2013/02/16
恋文は幼き恋にのみあらじ月日重ねて重なるものを
2013/02/15
昼下がり雲に翳ったアスファルト黒々と雨次々落つる
2013/02/14
悲しみも悔し涙も寂しさも歌えば眠る声のまにまに
2013/02/13
つむじ風 塵吹き上げる交差点 赤い花びらひらひら混ざる
2013/02/12
恥ずかしさ火の上るように沸くたびにシャンとするほか進むすべはなし
2013/02/11
大人びた指は今まだあどけなく弦を響かせ地平を探る
2013/02/10
寒風を吹かす早春の移り気にクローゼットの並びを戻す
2013/02/09
燃ゆる星いくら冷や水かけようと蒸気に火傷するが末路よ
2013/02/08
山からの冷え込む風は戻りつつ春を抱き込む日の長きかな
2013/02/07
背伸びした意思も隠した恥じらいもすべて消えゆくつかの間の夢
2013/02/06
願わくは死すべきときに生き延びず生くべきときに死力尽くさむ
2013/02/05
雨降ればいずれは山も崩れよう全ては移るただ死のほかは
2013/02/04
笛の音がピーヒョロ響く踊り場で恋より楽し歌を歌おう
2013/02/03
台所シャッシャと洗う喜びよ立ち働ける心地よさよ
2013/02/02
磨かざる石光らざるは理にて光らざる玉心して見るべし
2013/02/01
流れゆく水を汲んでは注ぐうち気づかず浮かぶ丸い月かな
2013/01/31
東風からから乾く大通り白いマスクの目立つ人波
2013/01/30
過ちは今に始まることじゃなし泣いて転んでまた起きるべし
2013/01/29
絶つべきは甘く縛るる夢の鎖よしや幾年錆び付こうとも
2013/01/28
朦朧と風邪のお熱に寝込んでも手を握りつつ時を止めたい
2013/01/27
あかあかと寝顔を照らすあの月は暦も知らず美しきかな
2013/01/26
どれ程に美しく満ちたものであれお題目など価値のあるかは
2013/01/25
菓子狙う長いお鼻の先っぽを叱られしょげる円らな瞳
2013/01/24
爪隠すロマンチストのアナロジー儚く流れゆれても浮かぶ
2013/01/23
飛びついて跳ねて丸まる秘密基地 空想はずむ安らぎの船
2013/01/22
仮り初めの城はたやすく壊れてもそは礎の過ぎたる化粧
2013/01/21
念頭に遠く遠くを描きつつひとつひとつを積んで重ねて
2013/01/20
前週の残雪光りキラキラと休む田畑に目の眩みつつ
2013/01/19
青くともやがて咲くべき蕾こそ花より花よ踊って誇れ
2013/01/18
下町の玩具問屋の紙ふぶき桜はや咲く店頭の飾り
2013/01/17
いつの間に期待しなくなったでしょう夢を見なくなったでしょう
2013/01/16
悦びよ当為を為し能く為すことの最上の唄歌う歓喜よ
2013/01/15
急ぎたし転びたくなし氷る道おどけた足に笑う雪の日
2013/01/14
はらはらと心躍らす牡丹雪ことも無きようしずかに積もる
2013/01/13
灰色の空は低くも四角くも住んで都のあたたかい町
2013/01/12
星の上たった一つの尽くすべき古今東西各自のベスト
2013/01/11
赤々と燃ゆる炎は見えねども冷め遣らじ熱ふつふつ続く
2013/01/10
繰り返す寒さながらに驚けば自然に向う神秘たらむ
2013/01/09
もし今日が正々堂々過ごせたら明日も願える幸せたれと
2013/01/08
鬼やらいなどと何度と誤魔化せど別の鬼にて道適うまじ
2013/01/07
お焚き上げ煙る空は冷えながら日々を励ます柔らかい青
2013/01/06
かじかんだ指でスルリと掴む駒息詰まらせる熱い息抜き
2013/01/05
正月に似つかわしくまだ初々しい年若き子らの向う机
2013/01/04
うっすらと目覚めたような平日にまだ眠そうな街のざわめき
2013/01/03
寒風をサイクリングで吹き飛ばしお菓子と初売りで笑う三日目
2013/01/02
新年の来客をして白ワイン普段と違う軽い華やぎ
2013/01/01
穏やかにわらわら流れ人並みに揺られて楽し年の初市
2012/12/31
夜更けてチャンネル争い愉しみにいつもの早寝の前にはお蕎麦
2012/12/30
歳末の店の並びも賑やかに小雨降りつつ買い物日和
2012/12/29
自らの弱さをよくも知ればこそ律することの強さをも得む
2012/12/28
願わくは我の新たなひととせは子らの立つ日の礎とせむ
2012/12/27
足元をふとうつむいて見ればほらもう探すものはそこに見えてる
2012/12/26
街の顔一夜で変える注連飾りめくるめく年明けんと欲し
2012/12/25
クリスマス朝に届いたご本からサンタの声が笑い聞こえる
2012/12/24
今ここへ続くからこそこそ越えてきた幾度も迷う角のありし路
2012/12/23
つたなくも工夫の光る子らの手に預けて楽し宴の支度
2012/12/22
何度でも何度も言ってさせてみて自分を信じ立ち上がるまで
2012/12/21
差したまま忘れた鍵を手で回しアクセル踏んで飽くまで飛ばせ
2012/12/20
いつのまに天の息吹を忘れたか肩肘張るは愚かなりけり
2012/12/19
できるなら綺麗な糸を紡いでまた誰かも纏える布を織りたい
2012/12/18
転んでも進まぬように感じても自分で決めた心は支え
2012/12/17
希望なら諦めない私の夢は私だけのものだから
2012/12/16
暖かく奇妙なほどの投票日まだ来ぬ春を吼えて呼ぶ夜
2012/12/15
こもる分空気のぬくい雨上がり冬の曇天しかと見上げる
2012/12/14
背中押す友の優しさを勇気に ただ真っ直ぐに前を見て
2012/12/13
吐く息の白く染まるる川岸を駆ける小犬を遠く眺める
2012/12/12
再びはできぬ理由を探すなよ此処だけが僕の最後の河畔
2012/12/11
開け放すマドを喧伝するよりは油差すべき古いドアノブ
2012/12/10
真後ろの扉を閉じる錠前も未来の鍵も掴む手ひとつ
2012/12/09
きりきりと冷気の降りる冬の朝布団の甲羅あたまだけ出し
2012/12/08
虚勢張る弱い犬ほどよく吼える建前ならば死まで貫け
2012/12/07
歌を詠み動く心を射止めればひとりたたずむ静かな景色
2012/12/06
屋形船ゆらゆら浮かぶ濁る河 日差し和らぐ冬の一日
2012/12/05
北風と日にさらされた銀杏の木 果実のように輝ける色
2012/12/04
逃げ道を捨てて言い訳振り払い行くも帰るもその足次第
2012/12/03
小事など捨てて成しうる仕事こそ息を整え心安くす
2012/12/02
山をわけ峠をくぐり延びる道 灯りかき消す深い暗闇
2012/12/01
クルクルと足を止めずに励むほどホッと一息つけるひと時
2012/11/30
年老いてめでたさの意味も変わるまで共に重ねて祝いたい歳
2012/11/29
口々に「心無くす」と広まれど口にせざれば多忙また良し
2012/11/28
値踏みさる玉も鋼も磨かざる砥石を見ては袖にせざるや
2012/11/27
わずかには息を残しつ廃れゆく賀状を刷りて季節思ほゆ
2012/11/26
雨降りの中を急ぎて職場へと温まるのは体のみかは
2012/11/25
ささやかな車中の菓子を楽しんで進まぬ家路気を紛らわす
2012/11/24
咳き込んでぼやんと痛む節々に妙に弱気のありがちな風邪
2012/11/23
久々の気の置けぬ客の訪れに笑ひて更ける冬の夜かな
2012/11/22
穏やかにぎゅうとぬくまる腕の中 悪夢の前にもう少しだけ
2012/11/21
霜月のほほを突き刺す空っ風 山も街路も変わらざりけり
2012/11/20
流れゆく小川のようにサラサラと増すこともなく濁ることなく
2012/11/19
いよいよと冬将軍の進軍にコートの中で昼も震える
2012/11/18
盤ゲームただ遊びとは思えども笑う日もあり泣ける日もあり
2012/11/17
始めより求むる心無かりせば潔さこそ最上ならむ
2012/11/16
焼き餃子 コロッケ 生の春巻きも 友がほめては食欲がわく
2012/11/15
諦めずわからぬものをわからぬと迷いつつまた突き進めれば
2012/11/14
何気なく関係も無くたわいない笑顔もたらす軽口も好し
2012/11/13
少しずつ疲れを治して行ける日を重ねて歩く歳の価値かな
2012/11/12
あなこれが小春日和とうなずける呆れるほどの暖かな午後
2012/11/11
けだるさも薄まるような田舎道のどかに過ぎる古ぼけた町
2012/11/10
「過ちて改めざるを過ちと」我にて我を叱り飛ばす
2012/11/09
うす雲のやわらかさより隠された空のこいしい昼もあるかな
2012/11/08
神の無き世に害為すも人ならば耐え打ち克つも人の子ならむ
2012/11/07
ありがちな冬の気配の向こう側まだこれからと僕を呼ぶ声
2012/11/06
雨降りの景色も映える流行歌くちぶえ鳴らし人並み越えて
2012/11/05
甘辛い海老とトマトのスパゲティ何度目かしら作って笑う
2012/11/04
息白く清めるような河川敷芝生の露に靴も濡れつつ
2012/11/03
西日さす窓の手前にコートかけ子らと学ぶ秋深くなり
2012/11/02
この道を歩いて疲れて眠るまで果てなき夢を見むと思へば
2012/11/01
まだ今はくすぶる種が在るのなら咲かせ散らせて実らせてみよ
2012/10/31
ハロウィンと意味も知らねど祝えれば何処も同じ秋のざわめき
2012/10/30
迷えども迷いて迷うて向かわねば暮れる夜道と知らぬ明日も
2012/10/29
肌を刺す空の寒さのあればこそ燃ゆるひとみの輝けもすれ

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